地震の恐ろしさについては、阪神淡路、中越、能登、中越沖と大きな地震が続いていましたので、ある程度の認識はしていましたが、津波がこれほど恐ろしいとは思っていませんでした。
身の毛もよだつ恐ろしさです。始めてテレビを点けたとき、大津波警報は6mと出ていました。「6mとは大変な津波じゃないの?」と一緒に居たM尾議員に言われましたが、ちょっと想像できませんでした。ビルの2階がすっぽり埋まる数字であることは分かりますが、「本当にそんな津波が来るの?」という感覚から抜け出せないのです。認識の甘さを痛感して反省しています。
自分の経験したことについては学習して活かしていくことが出来ますが、経験の無いことについて受け入れることが出来ない愚かさです。
しかし、多くの人はこのレベルです。こういった人達に危険を知らせ、安全に避難させることの難しさを痛感することになりました。専門家が知ることの出来る危険を素人に理解させて安全に避難させるためには、危険性が切実なものであることを理解させ行動させなければなりません。
私が一般質問で平成19年9月に、災害防止について質問したときにこんなやり取りがありました。
・伊藤文博
災害が起きたときに屋内にいる人、屋外にいる人、自分の自宅にいたときはこう考えてたけど、違う場所にいたから対応できなかったというようなことだって考えられるわけで、そうなってくると、災害が起きた時点の広報、誘導の仕方というのが、非常に重要になってくると思うんですね。
あらゆるケースに対応していくということが、非常に求められていくわけですが、中越沖地震のときの津波警報については、これは行政側にもお伝えをしてありますが、海岸のサッカー場で子供たちがサッカーをしていた。ちょうど津波にかかる放送があったんですが、そのサッカーしてる場所には全然聞こえなくて、少し離れた場所にいた人たちが聞いて知らせてくれた。
子供たちを避難させた後にもう一度海岸に戻ってみたら、まだ海水浴の人たちは、そのまま海水浴をしていたというようなことがあったんですね。実際には、市の広報車が回ってきて情報をもらったということもなかったというふうなことがあるんです。
こういうところを1つの事例として、今後、実際に対策をしっかりと定めていく必要があるんですが、この事例についてはどのようにお考えですか。
・消防長
中越沖地震の発生時の当日の行動につきましては、先ほど市長答弁のとおりでございまして、防災無線、それから緊急告知放送、そして消防職員、それから消防団の皆さん方によっての警戒活動を行ったところでございます。ただ、その中でその後検証いたしますと、いろんな場面の中で極めて実効性が伴っておったものと、なかなかそうでなかったものというのがあったことが判明いたしております。
このようなことから、さらに一層、今回は大きな事故がなかったわけでございますので、幸いでございましたが、これらの事例を踏まえる中で、次はどこにそういう漏れがあったのかということを検証していきたいなと、こう思っております。
それから、もう1つ足りなかったなと反省しておりますのは、やはり地震の発生したときには、特に海岸線の場合には、当地方では津波が起きる、起きないは別にいたしましても、やはり海岸線におった場合には、揺れを感じたら海から離れるということが第一義であるわけでございますので、これを市民の皆様方により徹底した啓発が必要であろうかとびそういう行政からの指示待ちではなくて、みずからが行動できる態勢というものをあげるよう、それを我々防災担当部局の方がさらに力を入れなきやいけないと、このように考えております。
というのが現実の姿だということを認識して対策を講じていく必要があります。容易なことではありませんね。確かに「自分の身は自分で守る」のが基本ですが、その認識を育てた上でも、弱者救済は大きな課題です。
「自ら判断し、行動できる態勢」も、「認識の甘さ」を克服するとこがハードルですし、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」にならないためには、日常的な啓蒙活動も重要となりますね。
このように、認識が甘くなりがちな現状で、「自ら判断し行動する態勢」だけに依存した防災体制では駄目だと言うことが分かります。危険な箇所にいる人に危険だと認識させる仕組みつくりは不可欠ですね。自主防災組織の重要性にもあらためて気づかされます。
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