新政会政務調査
◆大阪府大阪狭山市
■テーマ
①まちづくり円卓会議
②職員の意識改革「クレドカード」
大阪狭山市では、まちづくりとして「地域自治を考える懇話会」として中学校区単位の地域協議会を設置することを決め、名称を「まちづくり円卓会議」に変更しました。
「地域のことは地域で者える」を実践するための取り組みですが、 各会議に活動費が補助される他、計画に対して年間500万円を限度として予算化され、実施されます。
事業費は、補助金ではなく、市が予算を執行するシステムで事業が実施され、地域のメンバーは、その中心的役割を果たすそうです。
中学校区としたのは、小学校区単位より地域の繋がりが強くなるためですが、課題は「地域型の市民団体」と「テーマ型の市民団体」の融合の難しさだそうです。これは、納得の説明でした。地域をあるテーマのモデル地区に指定し、地域団体で取り組んだとき、なかなか上手く進まないケースは、これで見事に説明が付きますね。
「クレドカード」の「クレド」とは、ラテン語で「信条・理念・志」を意味します。
“大阪狭山市職員心得カード"は、基本的なクレドカードの趣旨を踏まえ、大阪狭山市版のクレドカードとして作成しています。全職員が携帯し、朝のミーティングで唱和しているそうです。
他の企業等と同様、全職員が常日頃から肌身離さず携行する中で、大阪狭山市職員としての使命や誇り・価値観・市政(施政)方針・市民協働に対する考え方・職務を行ううえでの行動指針等を再認識し、共有することで、積極的に物事に取り組む姿勢や意識改革の実現をめざします。
【おおさかさやまCREDO[大阪挟山市職員心得カード】
●公務員。大阪狭山市職員としての誇りや自覚
●めざすまち。まちづくりについての決意
【まちづくリスローガン】
●まちづくりにあたっての市のスタンス
●まちづくりが多くの人に支えられていることへの感謝
【市民との協働の推進】
●大阪狭山市がもっとも大切にする“市民協働”についての考え方をより明確化
●市民との協働がまちの繁栄につながることの理解
【職員への想い】
●理事者の職員に対する想い
【CREDO ACTIONS実践15か条】
●日々の職務の中で拠りどころとする行動・思考の指針
(※本来、クレドカードに記載されている指針の実行は日々の生活全般を豊かにするといわれています)
・実践15か条の確実な実行はあらゆる人(市民に限らず)に満足感をもたらし、「大阪狭山市」
という組織価値をも高めることにつながるという認識のもと、日常における基本的な行動及び
思考指針について定義しています。
これまでの、職員の意識改革に対する様々な取り組みから「CREDO ACTIONS実践15か条」を精査したそうですが、決定までには議論白熱だったそうです。
市役所の受付に座っている方は、一般市民の方です。行政パートナー(窓口スタッフ・フロアマネージャー)として4名の方が活躍しているそうです。臨時職員ではなく、「協定」を結んでいるそうで、相応の報酬は出ているようです。市の職員ではなく、行政パートナーであるという意識が重要なのでしょうね。
「日本一さわやかな市役所」を目指しているそうです。
◆兵庫県小野市
■テーマ
①いじめ防止への取り組み
②ICT教育への取り組み
副市長さんが同席され、「小野市の行政経営」に関しての説明がありました。熱意あふれる説明で、自分たちが成し遂げてきたこと、取り組みに対する自信が溢れていました。
行動指針
『3C・3S成果の追求』
・順客満足度志向の徹底 (Customer sausfaction)
・参画と協働の推進 (Collaboration)
・挑戦 (Challenge)
業務展開は
・Speed(情報をすばやくキャッチして迅速に処理できる仕組みの構築)
・Safety(安全安心に対する全職員の意隣改革)
・Specialty(行政のプロを目指す人材育成)
小野市いじめ等防止条例について
(1)導入のきっかけ
① 平成18年の秋ごろの全国的な「いじめ」の社会問題化
② 小野市の新たな組織作り(平成19年4月)
「いじめ」問題に焦点を当て、人権問題全体を考える組織作り
人権教育課(教育委員会)→ヒューマンライフグループ
③ いじめの問題は学校だけの問題ではなく、家庭、地域社会、職場などの様々な生活環境の中において憂慮すべき問題であると認識
おとなの世界も含めたあらゆるいじめに対応する条例作リヘ
・19年12月議会承認
・20年3月議会 都市宣言
・20年4月施行
④ 小野市ではいじめに関する大きな問題は発生していない。
行政経営の一つ「後手から先手管理」
大きな問題が起きてからやるのではなく起きる前に対応する
(2)特徴
① 「いじめは様々な人権侵害の根源である」→ 子どものいじめのみならず、おとなの世界でおきている。DV、セクハラ・パワハラ、児童虐待、高齢者虐待等も対象にしている。
② 市、市民、学校、社会福祉施設、企業及び公的機関の責務と、家庭及び地域社会の役割を明記
③ 市民と行政とが一体になって市民運動を展開し、市民の意識改革と見える成果を追求する。
④ 理念条例であり、罰則規定は設けていない。
(3)経過
① いじめ等防止市民会議を設置(平成20年4月)
市民と協働で「いじめ等防止行動計画」を策定
② 行動計画の二つの基本理念 (現実に学ぶことを基本として)
いじめをなくす人づくり
いじめをなくす気運づくり
いじめをなくすしくみづくり
③ 行動計画にもとづく、具体的な実践
(4)成果
① 条例ができたことで、「いじめ等」への市民の意識化が図れた。
② ヒューマンライフグループとして福祉関連課と学校教育課(学校)が、スムーズに連携し対応できる。
③ 問題解決の役罰弥担がはつきりし、スピーディかつ複合的に対応できる。
④ 相談件数の増加(ひまわりほっとライン
課題
① 条例のねらいは、あらゆる人権課題の解決に向けて、市民運動をおこすことにある。行政主導ではなく、市民と協同していじめ等防止に取り組むためのしかけをどうするか。
② 今まで長い歴史を持つ「人権啓発推進」の組織とどのように一体化していくか。各コミセンの人権啓発員や地域人権教育研究協議会のリーダーとどう連携を持つか。
→ ONOいじめ等防止ウィークを市民参画で実施するために、実行委員会を設置し協議し実施している。主として人権啓発推進の組織が主体となって事業展開をしている。
ICT教育に対する取り組みでは、プロジェクターと原稿カメラを活用した授業を展開していて、平成23年度中には小中学校の全教室に配備するそうです。
小野市の教育に対する取り組みは、兵庫県でも有数の市だと言えるそうです。現市長が就任して以来、教育予算が3.6倍にもなっているそうで、いかに教育に力を入れているかが良く分かります。今回の説明も、自信に溢れる説明振りで、教育現場の熱意ある実態が伝わってきました。
東北大学教授の川島隆太氏を教育行政顧問に迎え、「脳科学と16ヶ年教育」「脳科学とおの検定」「脳科学と小中連携」を唱え、オンリーワンの教育事業を展開しています。
「おの検定」では、よくあるご当地検定とは違い、基礎学力を高めるための様々な教科と年代にわたる検定で、大人向けの「おの検定」もあります。小中学生には学力のアップを、大人には健全な脳の活用による健康の維持を、という素晴らしい取り組みです。
「おの検定」とICT教育の展開により、基礎学力を高め、教育効果を高めようとしている取り組みは大変刺激になりました。
翌日、兵庫県内の他地域の教育長さんと一緒になり、小野市の話をしたところ、兵庫県でも昔から教育熱心な自治体であることも分かりました。
糸魚川市では「電子黒板」を導入し、教育のICT化にこれから取り組むことになりました。国の緊急経済対策による導入ですが、民主党政権になって事業凍結の対象になったので心配していましたが、早い時点での事業決定だったので採択になったようです。
電子黒板を導入して、どのような教育を展開するのかはこれからですが、ハードとソフトが噛み合った授業手法を、全教員が身につけ活用を図らなければなりません。研究校を指定して各校に水平展開するような取り組みをするそうですので、これからに期待しています。