平成25年7月6日(土) 合同稽古会 (糸魚川市青海生涯学習センター)
〃 7月7日(日) 第52回大会 (同上)
昭和37年に第1回大会が開催されて以来、52回目を迎えることが出来ました。
2県での開催も何回かあり、その時々の苦労がありながらも富山県長野県の協力を得
て継続してきています。
平成17年に亡くなられた師富江利喜雄範士七段が昭和35年頃より提唱され、県境
を接する富山県・長野県の同好者と交流することにより、地域の技術の向上と親善を図
りたいと、糸魚川市柔剣道振興会剣道部門の有志により準備が進められました。
その後、昭和37年に、電気化学工業(株)青海工場・新潟日報社の後援により、糸
魚川小学校大講堂に於いて、第1回三県都市対抗柔剣道大会が開催されました。
12回大会までは、柔道を共に柔剣道大会として開催されましたが、その後柔道が参
加を見合わせ、剣道大会として開催されることになりました。
富山県は滑川市以東の下新川剣道連盟を主体とした地域、長野県は松本市を中心とし
た松筑剣道連盟主体の地域と新潟県は地元糸魚川剣道連盟を主体とした地域で、「三県
都市対抗」と銘打って、52回を重ねてきました。
この大会の特徴は、最近では少なくなった試合場一面(いちめん)での大会であり、
独特の雰囲気があること。そして、前日と大会終了後の2回の合同稽古にもあります。
本大会の出場資格は六段以下であり、七段を取って卒業することになりますが、それ
ぞれの思いに共通するのは「この大会に育てられた」という強い愛着であります。
前日の合同稽古後の懇親会では、富山県のO宮先生から「55回には、卒業生で集ま
りたいね、是非やりましょう。」と提案して頂きました。
思い返せば、私も高校3年生の時に異例でしたが出場させて頂いたのが最初で、大学
卒業後、関東での勤務経験を経て昭和54年に帰郷してから、平成六年に七段を授与さ
れるまで連続して出場させて頂きました。かけがえのない経験と思い出になっています。
◆52回大会◆
■試合結果
●女子個人戦入賞者
優 勝 竹 千鶴(富山県)
準優勝 寺口 知子(富山県)
第3位 山田 愛(富山県)
第3位 伊藤さゆり(新潟県)
●男子個人戦入賞者
優 勝 松澤 一平(富山県)
準優勝 阿部 和史(新潟県)
第3位 野村 正樹(長野県)
第3位 増田 宗義(富山県)
個人戦では、優勝した松澤一平選手のしっかりした本格的な剣風が、印象に残りまし
た。順当に行けば優勝を争うであろうと予想されたとおり、岡田(新)、宮下(長)、昨年
度優勝の増田(富)を破って決勝に進出しました。
一方からは、阿部和史選手が山岸(富)、若手の伊藤(暢)(新)、ベテラン実力者の野村
(長)を撃破して決勝に進出。特に野村選手を破った一戦は気迫溢れる動きで、この日一
番の会心の試合だったでしょう。
決勝は、気迫の阿部選手が地力の松澤選手を崩すことが出来ず、小手一本を奪われて
優勝は松澤選手の手に渡りました。
女子では、優勝した竹選手の安定した試合運びが光り、準決勝では1-1となった後
の伊藤選手(新)が思いきり間を詰めたところに放った冷静な面が印象に残りました。
◆団体戦◆
優 勝 富山県
準優勝 新潟県
三 位 長野県
団体戦の第一試合は、富山対長野で本数勝負になり富山県が勝利。序盤のリードを守
れなかった長野県ですが、「今年は長野が優勝か?」と思わせる展開だっただけに惜し
いことをしましたね。富山県の後半が強いということでしょう。
第二試合は長野県と地元新潟県です。序盤五分五分で進みましたが、副将、大将を連
取して新潟県の勝利でした。新潟県としては、個人戦準優勝の阿部選手が引き分けたの
が痛かったと言えるでしょう。三将岡田かおりは、出産後復帰二週間での試合出場で、
強敵宮下選手相手に引き分けたのは上出来だと言えます。そこを守って。副将、大将の
二本勝ちは見事でした。
第三試合は、過去最多優勝の富山県と地元新潟県の対戦です。お互いに一歩も譲らな
い展開から、副将戦を終わって3(6)-2(6)と新潟県有利で迎えた大将戦でした
が、見事に富山県が逆転勝利で優勝旗を持っていきました。大将戦の序盤は新潟県の清
水選手有利かと思いましたが、後半立て続けに2本取られて逆転されてしまいました。
富山県の大将高木選手があっぱれでした。
こうしてみると、団体戦で2勝しているのは、長野県の山本選手、富山県の高木選手、
新潟県の伊藤(豪)選手の各県1名ずつでした。いかに実力が拮抗しているか良く分かり
ます。地元新潟県では、個人戦の阿部選手(準優勝)、団体戦の伊藤(豪)選手の活躍が目
立ちましたが、他の選手もそれぞれ持ち味を出して頑張ってくれたと思います。
私が大将を努めていたときも、3すくみの一勝一敗で並ぶ展開となり、最後の大将戦
の最後の一本で優勝が決まる場面が何度もあったように記憶しています。
試合が終わって、他県の選手が「伊藤さんの一本で決まった!」と自分のことのよう
に喜んで握手してきてくれたときの嬉しさは今でも思い出します。また、同じ人が、私
と団体戦で引き分けた後「伊藤さん、私に勝てなくて悔しいでしょう」・・・この言葉も
忘れられません。決して変な意味でも嫌みでもなく、私の心情をズバリ突いてきたこの
言葉の深みを理解できるのは、その方の人間性に信頼が置けるからです。良きライバル
であり良き仲間ともなりました。
現在の選手達にも、強い絆を築いてもらいたいと思います。
沢山の方々のご協力により、無事終了することが出来ました。心より感謝申し上げま
す。