新潟県と沿線3市で経営分離される並行在来線の運営会社を設立する動きに対して、糸魚川市の動きが注目されています。
5月11日に県庁を訪れた3市長は、並行在来線会社の早期設立について要望書を提出しています。
【並行在来線会社の早期設立について】
並行在来線は、沿線住民にとって、通学・通勤・通院などの日常生活に欠かせない交通手段であり、また、北陸新幹線や他の在来線と連携した鉄道ネットワークを形成し、地域振興や地場産業の振興にとって欠かせない社会基盤であります。
平成26年度末に予定の北陸新幹線金沢開業と同時にJRから経営分離される並行在来線は、新潟県並行在来線開業準備協議会において平成22年度中に経営計画を策定するスケジュールとなっており、その後、並行在来線会社を設立する計画と認識しています。
しかしながら、県内の並行在来線区間は性格の異なる2つの路線を抱えることなどから、解決すべき問題も数多くあります。
中でも、旅客列車の運行や車両の調達、運賃など経営に係る主要な課題は、将来の並行在来線の経営を担う主体が責任を持つて方針決定するべきものと考えます。
そのため、沿線市で実施する各種鉄道利用促進策や新幹線関連事業をより効果的に進めるためには、行政だけではなく並行在来線会社も含めた事業連携を行う体制整備が望まれています。
ついては、並行在来線会社をできる限り早期に設立いただき、開業に向けた準備を促進していただくとともに、その負担についても県の特段の配慮を要望申し上げます。
平成22年5月11日
上越市長 村山秀幸
糸魚川市長 米田 徹
妙高市長 入村 明
という内容です。この要望書では経営計画策定前に運営会社を設立するように要望しています。
従って、県の対応はその点においては糸魚川市長を含む3市長の要望に添ったものといえます。しかし、要望書を受け取ったその日に3セク設立の話があり、6月議会に上程するのは性急すぎるというのが糸魚川市議会の意見であり、市長の考えでもあります。
また、今年度の予算として1億5千万円。開業までは20億~30億円の支出が見込まれるということです。
糸魚川市の費用負担は、1/5の30%ですから6%です。30億円の6%は1億8千万円です。開業するまでにこの支出で、その後の赤字はこれまでの試算では30年間で400億円近くになるといわれています。
開業までに1億8千万円もの支出(糸魚川市分)が必要となることも、5月11日の時点では示されていませんでした。糸魚川市議会としては、多くの費用を必要とする事業のスタートに当たって、相応の説明責任を市民に対して負っています。新潟県は主体的に運営を考える立場として、県民や沿線3市に対する説明責任があります。
糸魚川市議会の、市民に説明出来ない状況でGOサインを出すわけにはいかないという判断は間違ってはいません。3セクの設立に反対しているわけではないのです。多くの支出を要する事業の開始に当たって、説明の出来ない状況でスタートを切るほうがおかしいと思っています。
市長には、県とお互いの立場を尊重し合う中でしっかり話し合って、会期途中の議案上程か7月以降の臨時議会開催で、しっかり対応して欲しいと思っています。